夏に読んでもらいたいオススメ本2016(後編)

さて前回に引き続き、夏に読みたい本ということで個人的にオススメしたい本を、初級編、中級編、上級編に分けて紹介したいと思います。個人的な趣味のため、今回に限って前後編で書かせてもらっています。

 

<中級編>

 

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夏への扉 / ロバート・A・ハインライン

 

半世紀以上も昔に出たSF小説で、「タイムトラベルもの」のSFの先駆け。日本のSFファンが選ぶ海外長編SFで何度も繰り返し1位をとっている名作です。50年以上もベスト10に入る作品なんて、なかなかお目にかかれませんよね。

 

舞台は、人工冬眠が実用化された世界。全てを失った主人公が、愛猫と一緒に今の人生の全てを捨て、未来への片道旅行(冬眠)をする話です。SF要素はそれほど強くなく、いたるところに散らばった伏線を楽しめる話です。読後に、爽快な気持ちになれることは間違いありません。

 

 

 

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ザ・スタンド / スティーブンキング

 

夏と言ったらホラーですよね。ということで、スティーブンキングから一冊。「ショーシャンクの空に」「グリーンマイル」「スタンド・バイ・ミー」「ミザリー」などなど、ヒット作のタイトルをあげていったらキリがない、世界一のストーリーテラーです。読まないと人生損している!と断言できます。

 

その中でこの「ザ・スタンド」は、スティーブン・キングが大ヒット作である「ロードオブザリング(指輪物語)」のような物語を目指して書いたもの。キングには珍しいパンデミックものです。人がバタバタと死ぬので苦手な人は苦手かもしれませんが、ゾンビ映画などが好きな人はぜひ。

 

 

<上級編>

 

 

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屍鬼 / 小野不由美

 

文庫では全5冊。登場人物が100人を超える鬼作です。熱狂的なファンが多いことでも有名。じわじわ追い詰められるように進むホラーなので、最初のうちは何がおこっているのか全くわかりません。とにかく前置きが長く、1巻がまるまる前置きと言ってもいいくらい長いです。評価が割れるのもそのせいかもしれません。

 

山奥の村で、少しずつ人が死んでいく話です。少女から老人にいたるまで綿密に書かれているので、いつの間にか自分もその村の一員になったかのような錯覚さえ味わえます。恐ろしいうえに、精神的に追いつめられます。

 

 

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姑獲鳥の夏 / 京極夏彦

 

信じられないことに、京極夏彦のデビュー作です。

これを最初に読んだ講談社の編集者は 「著名な作家が編集部のリテラシーを試すためにイタズラで送ってきた」 と思ったくらい、一作目にしてレベルの高い強烈な作品だったという話はとても有名。さらにその後、こんな作品を新人が送ってくるなんて!と感激した講談社が「メフィスト賞」を創設。作品ありきで、第一回メフィスト賞受賞作になりました。

 

デビューからエピソードが盛りだくさんの京極夏彦ですが、中身もすごい。ミステリーというよりもオカルト。オカルトであって、何よりも現実的というアンバランスさが面白いところです。一度はまると病み付きになると言われる京極夏彦は、夏にスタートする物語ばかりです。

 

 

本屋に行くと、夏の文庫100冊などのフェアが各社いっせいにスタートしています。実は「読書の秋」よりも、夏のほうが読書をしている人が多いのだそうです。夏だからこそ本が読みたい。そう思う人は多いみたいですね。暑くて外に出たくない日には、家の中で本でも読みましょう。